■ 総評
軽井沢の「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」は、シンプルな調理と素材の力を極限まで引き出した“イタリアンの聖地”。一皿ごとに奥深い香りと滋味が溢れ、記憶に刻まれる美食体験ができる。期間限定で営業されていた「アルベリーニ」としての魅力も、特別な季節のご馳走として心に残る。
■ 店舗・雰囲気
軽井沢の自然の中に溶け込むような一軒家イタリアン。
店内は落ち着いた空間で、肩肘張らずにリラックスして食事が楽しめる。
スタッフのサービスも温かく、料理への愛情が伝わる丁寧な接客。

■ 料理・ドリンク
まずはプロセッコで乾杯。
最初の焼き野菜――ナス、ズッキーニ、パプリカなど、
彩りも美しく、シンプルながら素材の持ち味を極限まで引き出した逸品。
絶妙な火入れと味付けで、野菜の香りと甘みをじっくりと楽しめる。

自家製パンは、噛みしめるごとに広がる小麦の香りとしっとりした食感が秀逸。
バターや、料理のソースをつけて楽しむのも格別。
思わず手が止まらなくなる美味しさで、つい食べ過ぎてしまう。
ウサギのフリットはアバラ部分を使ったもので、
カリッとした衣の中に肉の旨味と弾力が詰まった絶品のおつまみ。
単なる揚げ物ではなく、肉の旨味・香り・火入れの技術すべてが凝縮されている。

白ワインはカラフェで。
この日はトレッビアーノ・ダブルッツォの予定だったが、
サービスで別のワインを提供いただき、料理との相性を重視したチョイス。
ノンプレスの生ハムはしっとりとして驚くほど柔らかく、
今までの生ハムの印象を覆すレベル。
サラミやチーズも熟成の香り、旨味がしっかり感じられる。
粒状パスタ「フレーゴラ」は、アサリやムール貝の出汁と絡めてあり、
貝の旨味が一粒一粒に凝縮。
ムール貝そのものの質・仕上げも抜群で、
“ムール貝の概念が変わる”ような体験だった。

メインは豚肩ロース、骨付きラムの両方をシェア。
どちらも驚くほどジューシーで香り高く、
焼き加減や下ごしらえの細やかさが伝わる。
肉本来の味をじっくりと噛み締める幸せ。

赤ワインもカラフェでいただき、
料理ごとに違うニュアンスを楽しめた。
■ 体験・印象
どの料理も、素材そのものの持ち味を最大限に活かしきった仕上がりで、
派手な演出ではなく“味”でしっかりと感動させてくれる。
説明も丁寧だが、言葉よりも“熱意と美味しさ”がダイレクトに伝わってくる。
日常から離れたリトリート感、心に刻まれる美食時間。
■ まとめ
軽井沢の美しい自然に囲まれた「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」は、
“記憶に残したいイタリアン”の筆頭。
素材と向き合い、技術と感性で昇華された一皿一皿は、
何度も通いたくなる奥深さ。
グルメの境地を知る、唯一無二の体験がここにある。
訪問日:2019/07/20
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