1. 事業再構築補助金の目的
事業再構築補助金は、ポストコロナ時代における経済社会の変化に対応し、既存事業の枠を超えた挑戦を促すための制度です。新分野への進出や業態転換、事業・業種転換、事業再編、国内回帰や地域サプライチェーンの維持・強靱化といった再構築を支援し、企業の競争力向上と地域経済の活性化を目指します。
2. 補助類型と支援内容
2025年度は5つの類型が用意されており、各類型により補助率・上限額が異なります。
- 成長分野進出枠(通常類型)
既存事業を維持しながら成長分野への進出を図る企業向け。中小企業の補助率は1/2(条件を満たせば2/3)、中堅企業は1/3(1/2)。従業員20人以下は1,500万円(条件を満たせば2,000万円)、101人以上は6,000万円(7,000万円)が上限。 - 成長分野進出枠(GX進出類型)
カーボンニュートラルや省エネなどのグリーン分野への進出を支援。補助率は通常類型と同じだが、上限額が高く、20人以下で3,000万円(4,000万円)、101人以上で8,000万円(1億円)。 - コロナ回復加速化枠(通常類型)
コロナ禍からの回復を急ぐ事業者向け。中小企業の補助率は2/3で、従業員5人以下は1,000万円、51人以上は3,000万円。 - コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
最低賃金付近の賃金を支払う事業者を対象に、早期の賃上げと経営改善を支援。補助率は中小企業3/4(条件未達時は2/3)、中堅企業2/3(1/2)。従業員5人以下は500万円、21人以上は1,500万円。 - サプライチェーン強靱化枠
地域サプライチェーンの維持や国内回帰による経済安全保障強化を支援。補助率は中小企業1/2、中堅企業1/3。上限は1,000万円~5億円(建物費がない場合は3億円まで)。
3. 補助率・上限額を引き上げる措置
- 卒業促進上乗せ:補助事業を通じて中小企業から中堅企業へ成長する場合、上限額と補助率が引き上げられる。
- 中長期大規模賃金引上促進上乗せ:事業終了後3~5年で最低賃金を年45円以上引き上げ、従業員数を年平均1.5%以上増員した場合、補助額・補助率がさらに上乗せされる。
- 賃上げ特例:短期に大幅な賃上げを行う場合、補助上限額が倍増し、補助率も3/4まで引き上げられる。
4. 対象経費と支援範囲
共通して補助対象となる経費は以下のとおりです。
- 建物費(工場や店舗の改築・移転)
- 機械装置・システム構築費(新規設備導入やDX推進)
- 技術導入費(ライセンス・特許使用料など)
- 外注費・専門家経費(委託開発、コンサル費用)
- 広告宣伝費・販売促進費(新規事業のPR)
- 研修費(従業員の技能向上)
- 廃業費(通常類型のみで旧事業を廃業する際の費用)
対象外経費や詳細な条件は公募要領の確認が必須です。
5. 公募スケジュールと申請の流れ
第13回公募は2025年1月10日開始、応募締切は3月26日18時、採択発表は6月下旬~7月上旬予定。申請は電子申請で行い、GビズIDプライムが必要です。事業計画書、決算書、見積書、資金計画などの事前準備に加え、経営革新計画やパートナーシップ構築宣言など加点要件の取得が採択率向上につながります。
6. 計画策定と経営改善のポイント
- 事業再構築の方向性を明確化:既存事業との違い、新市場参入の理由、投資や人材育成内容を具体的に記載。
- 付加価値額と賃上げ目標の数値化:3~5年で付加価値額を年平均3~4%増加させる計画を盛り込み、賃上げや雇用拡大目標を設定。
- 実行可能な資金計画:自社負担額や融資計画を明確化し、補助金受給後の資金繰りを見通す。
- 専門家の活用:申請書類の整合性や採択可能性を高めるため、中小企業診断士や行政書士に相談。
- 中長期的な経営改革と連動:補助金投資を単発で終わらせず、デジタル化・人材育成・販路拡大と連動させる。
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