銀座の中華料理店「銀座桃の木」で、伝統と革新が融合した繊細な中華フルコースを堪能した。厳選食材を駆使し、広東・四川の技法に独創的なアレンジを加えた料理が次々と登場し、その一皿ごとに驚きと満足が広がる。
黒豚酢豚は、外はカリッと中は肉汁があふれ出す仕上がりで、甘酸っぱいタレとの一体感が秀逸。
牡蠣低温調理は、旨味を閉じ込めたやわらかな食感とミネラル感が際立ち、海の香りがふわりと広がる。
帆立と三種のきのこの上海蟹ソースは、濃厚で贅沢な蟹の旨味が帆立の甘みを包み込み、秋の香りを感じさせる逸品。根菜炭化調理は香ばしさとほのかな苦味が調和し、素材の新たな魅力を引き出していた。
モウカザメ黄金ソースは、鴨や豚、鶏、豚足を用いた奥深い旨味が重なり、複雑で豊かな味わいを生む。ピスタチオとカレー風味グラタンは、香ばしいナッツのコクとスパイスの刺激が新鮮な驚きをもたらす。
エゾシカのマーガオ風味は、芳香高い中国スパイスとジビエ特有の旨味が見事に融合。
締めの干し貝柱とタイ米ジャスミン風味は軽やかで香り高く、食事の終盤にふさわしい上品な仕上がりだった。
デザートはピスタチオや果実を用いた甘味と、柔らかな香りの白茶で締めくくり、最後まで余韻が続く。
■ 総評
「銀座桃の木」は、銀座という立地にふさわしい洗練された空間と、伝統的中華に革新的エッセンスを加えた料理構成が魅力。食材選び、火入れ、盛り付け、すべてに計算が行き届き、季節感と独創性を兼ね備えている。中華の枠を超えた美食体験を求める食通に強く推薦したい一軒だ。
訪問日：2025/01/13
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