■ 総評
佐倉の住宅街にひっそりと佇む、一軒家イタリアン「プレゼンテスギ」。イタリア料理の枠を超え、唯一無二の“食の体験”として昇華したコースを提供している。日本の風土とイノベーティブな技法を掛け合わせ、皿ごとに驚きと感動が連続。アクセスのハードルさえ楽しみに変えてしまう、特別な価値がある。
■ 店舗・雰囲気
京成佐倉駅からタクシーでアクセス。外観は一軒家そのもの、アプローチには庭や飾りもあり、非日常への期待感が高まる。店内はテーブル4卓のみ。インテリアは和洋が溶け合い、肩肘張らずに心から食事が楽しめる。すっぽんの骨や干物のディスプレイなど、好奇心をくすぐる演出も随所に。


■ 料理・ドリンク
【アミューズ&前菜】
最初の一杯はROCOCOラグジュアリービール。
コース冒頭、トマトを飴でコーティングした“定点トマト飴”から始まり、
ガストロバックでとろけるほどに仕上げた里芋、
薔薇を模したアートのような前菜(ビーツのピクルスとサバ)と続く。

そして焼きたてクロワッサンは、タイミングを見計らって提供。
ふんわりとやわらかな食感は、パン好きなら悶絶必至の美味しさ。
【シグネチャー&温菜】
苺のムース・フォアグラ・小豆を重ねた一皿は、
それぞれを単独で楽しむもよし、ミックスして苺大福のような新感覚で楽しむもよし。
鰤大根はガストロバックを使い、低温で火入れした鰤の生のような柔らかさと、
大根の旨味が相乗効果で際立つ。

虎ふぐのフランは河豚の新たな境地を感じさせ、
パスタはアナグマのラグーソース、ヨシキリザメのフカヒレソースと、
驚きの組み合わせが連続する。

【メイン&炭水化物】
“high&lawステーキ”は肉汁が一滴も溢れない究極の火入れで提供され、
杉寿司は卵黄の塩漬けと黒トリュフをオン。芯を残した米のリゾット感が印象的。
再生パスタ(卵不使用)、猪バラ肉やアナグマ・鴨・鹿のコンソメスープは、
日本の発酵や出汁文化まで意識した奥深い味わい。


【デザート&締め】
泡・氷・焦げ~みかん一色のデザート、
フィナンシェ風の“食べられなさそうで食べられる”一皿、
猪の油やドングリなどストーリー性あふれる素材使いで最後まで飽きさせない。
食後はオーガニックハーブティーでリフレッシュ。
さらに“食べられないけど食べられそう”なお土産石鹸も嬉しいサプライズ。
■ まとめ
距離をものともせず通いたくなる、創造性と味の高次元融合。
シェフの感性と技術が際立ち、誰もが“全てお代わりしたくなる”多幸感に包まれる。
都心の名店では味わえない、唯一無二の食体験。
イノベーティブなイタリアンの理想形として推薦したい。
訪問日:2021/01/30
コメント