白紙のメニューが導くフレンチの極致

鳩のロースト フレンチ

■ 総評
北品川の閑静なエリアにひっそりと店を構えるフレンチの最高峰「カンテサンス」。 “白紙のメニュー”という独自のスタイルで、料理そのものではなく食の「理念」や「哲学」を体感させてくれる稀有な存在だ。イノベーティブというより、素材、火入れ、味付け、すべての基本を極限まで突き詰めた職人技の結晶。完璧主義が貫かれた皿の連続に、真のグランメゾンとは何かを思い知らされる。

■ 店舗・雰囲気
今回は4名で個室利用。静寂な空間の中、プライベート感が保たれ、会話や写真撮影にも配慮された贅沢なシチュエーション。
白を基調にしたモダンで清潔感のあるインテリア。
サービスはソリッドながら温かみもあり、ゲストの期待感を裏切らない。

店名

■ 料理・ドリンク

【アミューズ~前菜】
コースは全12品。
最初から最後まで“何が出てくるか分からない”ワクワク感。
季節や仕入れによって構成が変わり、その日ごとの一期一会を存分に楽しめる。
素材の質・状態を見極め、どこにも妥協がない。

前菜

【メイン~デザート】
フレンチの王道でありつつ、火入れと温度管理の精緻さは突出している。
特に象徴的なのが鳩料理。絶妙な火入れ、二時間半かけて仕上げられた肉のやわらかさ、深いコク。
シンプルだがストイックなまでの精度が生み出す一皿。
そのほかの前菜や魚料理、デザート4品も、舌と記憶に刻まれるレベルのクオリティ。

【ドリンク】
シャンパンから始まり、白ワイン、赤ワインと続く王道のペアリング。
料理との一体感が見事で、ワインの力強さよりも料理の余韻を最大限に活かす流れとなっている。
お酒は控えめにしたが、料理の世界観にどっぷり浸れる。

■ まとめ
“プロデュイ(素材)”“キュイソン(火入れ)”“アセゾネ(味付け)”“Prise de vue(撮影)”の4つの要素が一体となった美学の完成形。
初回訪問時の衝撃は、唯一無二。全ての皿にストイックなまでの完璧主義が宿る。
カンテサンスは、ただ美味しいだけでなく、食の哲学を体験できる特別な場所。
何度でも訪れたくなるが、一期一会の価値を知るからこそ、一皿一皿を噛みしめるべき店だ。

訪問日:2017/05/02

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