鮨あらい~王道の技と繊細な握りが光る名店~

トロ 寿司

■ 総評
銀座の名店「鮨 あらい」で味わう、王道の江戸前寿司ランチ。握りの一貫一貫に、素材・技・温度・シャリのほぐれなど、細部まで磨き抜かれた職人技が光る。特別なランチタイムに相応しい、真っ直ぐな“寿司道”を極めた一軒。

■ 店舗・雰囲気
銀座らしい端正なカウンター8席。清潔感と程よい緊張感が漂い、すべての客が一斉スタートで握りに集中できる。静かな店内で、握りを待つ間も一体感が感じられる空間設計。2024年現在は7席となり、さらに予約困難な人気店へ。

店内の雰囲気

■ 料理・ドリンク

ランチのおまかせコースで訪問。
席に着くと、テンポよく握りが供される。まずは「ひらめの昆布締め」。シャリのほどけ方が理想的で、身の引き締まり・旨味の伸びともに一流。

次は「新イカ」。軽くすだちと塩のみでいただく。ねっとりした身の厚みと、シャリの温度が絶妙。

新イカ

続く「漬けまぐろ」は、その日のマグロの状態に合わせてシャリの柔らかさ・固さも職人が調整。状態の良い160kgの大間のマグロは、脂・旨味・食感ともに高次元。

「中とろ」は脂の質が良く、ふんわりとした握りの中にコクの余韻が残る。
「コハダ」は酢の締め加減、身の厚みともにバランス抜群。口中で旨味が爆発する。

コハダ

「車海老」は茹でたての香りと食感を重視し、王道の大分産。
「さわら」は藁で軽く炙り、芳ばしさとねっとりした身質が新しい発見をもたらす。

「ゴマさば」は目の前で皮を剥き、脂の旨味がダイレクトに伝わる。今日一番の感動。

「いくらご飯」は柚子皮の香りと上品な塩気。
「小柱軍艦」は海苔の香り、貝の旨味の一体感。

「すみいか」は軽く炙り、水分を飛ばしてタレと柚子皮で味に立体感を。
「かつを」は皮を徹底的に取り除き、握りの柔らかさと旨味が光る。ここまで旨い鰹は希少。

カツオ

「うに」は濃厚な甘みと磯の香りが口中を支配する一貫。

雲丹

「穴子」はふわふわでとろける食感、煮詰めの加減も絶妙。

「しじみのお椀」は優しい味わいで小休止。
「玉子」はスイーツのようにふんわりとした甘さと、内外の食感の違いが楽しい。どの握りもシャリのほぐれとタネのバランス、口どけが計算され尽くしており、写真を撮りながらも一瞬で食べてしまう完成度。

ドリンクは日本酒中心、寿司とのペアリングも抜群だが、ランチは水やお茶でも十分に満足できる。

■ まとめ
鮨 あらいは、素材の目利き・シャリの温度・酢加減・包丁・握りの全てで“正統の極み”を体現する銀座寿司の最高峰。どの一貫もため息が出る完成度で、銀座で寿司を食べる醍醐味を味わわせてくれる。ますます予約困難だが、訪れる価値は間違いなくある一軒。

訪問日:2017/09/26

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