鰻食べ比べと竈炊きご飯で贅沢に〆る貸切会席

日本料理

■ 総評
銀座の懐石料理店「喰善あべ」を貸切で訪問。竈炊きご飯の名店として知られ、今回は一夜限りの「米米倶楽部」と題し、鰻食べ比べを組み込んだ特別コースを堪能した。料理の組み立てとサーブの間合いは絶妙で、会全体が緩やかに高揚していく流れが心地よい。

■ 店舗・雰囲気
竈を囲むL字カウンター11席という舞台が、この店の象徴。木の温もりが満ちる空間は、貸切になると一層アットホームな雰囲気に包まれる。スタッフは控えめながら、料理を出すタイミングや会話の距離感に長けており、リズムを崩さない。

■ 料理・ドリンク
季節感と素材の持ち味を引き出した構成は、序盤から終盤まで飽きさせない。
【八寸】
・雲丹と生湯葉ジュレ(北海道礼文島産)
・黒鮑と蓴菜、山芋すり流し
・生くちこ、小肌、里芋衣かつぎ
・イワシ燻製、モロッコ三度豆と茗荷の白和え

八寸

【椀物・焼物】
・鱧と松茸…香りと滋味が凝縮し、温かみのある一椀。
・鰻食べ比べ…秋田・八郎潟産の白焼きは上品な脂と香ばしさ、静岡・浜名湖産の蒲焼きは濃厚な旨味とタレの香りが際立つ。

鰻食べ比べ

【ご飯】
・竈炊き白飯…一粒一粒がふっくら立ち、甘みが深い。おこげやちりめんじゃこ、白飯のみなど、自由な組み合わせで何杯もお代わり。

おこげやちりめんじゃこ

【その他】
・松茸とクエの土瓶蒸し…出汁の厚みと香りの余韻。

松茸とクエの土瓶蒸し

・水菓子…焼き麩ぜんざいと旬果で締める。

【日本酒】
・日高見(山田穂・短稈渡船の飲み比べ)を中心に、料理との相性を重視したペアリング。

■ まとめ
「喰善あべ」は、竈炊きご飯を中心に据えた唯一無二の会席体験を提供する一軒。鰻食べ比べや貸切ならではの空気感は、グルメ仲間との特別な夜に最適。料理、空間、会話が渾然一体となる時間は、訪れる者の記憶に深く刻まれる。

訪問日:2017/10/19

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