広尾に佇む高級鮨店「すし良月」。和歌山出身の大将が、全国から届く直送食材と地元和歌山の恵みを巧みに織り交ぜたコースを振る舞う。今回はペアリングがなかったのが惜しいが、料理の完成度はさすがの一言。

おつまみから始まる贅沢な序章
- 煮鮑:肉厚でやわらかく、滋味深い味わい。

- 熊本赤草の赤ウニ 苺煮風:甘みとコクが広がる贅沢な一皿。
- アワビの貝柱:柔らかい部位と歯応えのある部位、食感の違いが楽しい。
- 神経締め白甘鯛:皮目をサクッと刃が入る音と、昆布締めによる旨味が印象的。

和歌山の酒とともに
紀土を合わせながら、和歌山産や各地直送の食材を堪能。
- 求肥昆布の鯖寿司:明石産の神経締め、柔らかな食感と濃厚な旨味。
- いくら小丼:プチっと弾ける食感と塩味のバランスが絶妙。
- ボタン海老:焼き香と三ツ星醤油の旨味が広がる、この日のベスト。

握りの展開
- 中トロ・大トロ・赤身漬け(結乃花仕入れ):醤油強めだが、シャリのほつれ具合が絶妙。

- 鱧の椀物:昆布出汁と鱧のねっとり感が余韻を残す。
- 新イカ:瑞々しい甘み。
- のどぐろ蒸し寿司:脂の旨味をさっぱりと楽しむ構成。

酒を変えて味の幅を広げる
- 伯楽星とともに味わうキス(愛媛今治直送)は、鮮度抜群の歯応え。

- サワラ(明石直送)や、一週間寝かせた白甘鯛の握りは熟成の妙を感じる。

- アジ(神経締め)は脂と香りが際立つ。
終盤の贅沢
- 毛蟹蒸し寿司:出汁の旨味が蟹の甘さを引き立てる。
- 開運とともに味わうコハダは締め加減が秀逸。
- 淡路由良の赤ウニ:濃厚で芳醇な旨味。
- 追加のミル貝は貝の甘みと食感が際立ち、締めに相応しい。

総評
「すし良月」は、直送食材と熟成技術、そして美しい所作による握りが魅力。
ペアリングが再開すれば、さらに完成度の高い食体験になること間違いなし。
次は和歌山での地元開業時にも訪れてみたい。
訪問日:2023/08/31
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