隠れ家的フレンチレストラン「スブリム」
麻布十番の閑静な住宅街に佇む「スブリム」は、落ち着いた雰囲気の中で洗練されたフレンチを堪能できる隠れ家レストラン。ナチュラルな内装と静かな空気感が広がり、大人のディナーにふさわしい空間である。

食事の始まりとアミューズ
食前にはシャンパーニュを、LEHAMANNのグラスで。細やかな泡とともに特別な夜が始まった。アミューズは二品。まず、ふわりと軽やかな食感に味噌や山女の風味が広がる一口サイズ。次に登場したお米のチップに雲丹をのせた寿司風の一品は、そら豆や蓴菜、石蓴、ホタテの食感の変化を楽しめる趣向が凝らされていた。

前菜とスペシャリテ
前菜は初鰹をビーツビネガーでマリネし、大葉とバジルのソースを合わせた一皿。鮮やかな色彩と爽やかな酸味が印象的で、ねっとりとした鰹の食感を引き立てる。

合わせた白ワインはニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランで、料理との相性も抜群だった。続くスペシャリテは発酵マッシュルームスープ。塩とマッシュルームのみで2週間発酵させた深みのある味わいに、温泉卵が柔らかい調和を与える。マッシュルーム全粒粉パンとともに頂けば、唯一無二の香りと旨味が口中に広がった。

メインディッシュとユニークな締め
魚料理はハタのポワレ。鳥のソースと柑橘、黄ニラを添え、複雑な香りと爽やかな酸がハタの上質な身質に寄り添う。肉料理は山形県産もち豚。行者にんにくと夏みかんのソースで、脂身の甘みと香りを存分に楽しめた。赤ワインにはカリフォルニアのメルローを合わせてバランスをとる。
そして締めにはユニークな「ラーメン」。天草大王のスープにバラのジュレを溶かした一杯は、優しい旨味が飲み疲れた身体を包み込み、心地よい余韻を残した。


デザートと総評
デザートは「卵の再構築パッションエッグ」。ライチのメレンゲに囲まれ、パイナップルのソルベをパウダー状にして仕上げた芸術的な一皿。食後はハーブティーで締めくくり、洗練されたコース全体を堪能できた。
「スブリム」は料理・サービス・雰囲気のすべてが高水準で、都会の喧騒を離れた隠れ家フレンチとして再訪したい一軒である。
訪問日:2023/05/16
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