薪焼きが織りなす独創的な一軒家フレンチ

フレンチ

いわき市に佇む一軒家フレンチ「HAGI」市街地から外れた場所にあり、薪が積まれた外観と煙突のある建物が印象的。店内はアンティーク調の落ち着いた雰囲気で、非日常感を演出している。肩肘張らずに訪れながらも、料理は洗練されたフレンチの枠を超えるクオリティであった。

HAGIの外観
HAGIの店内

本日のコースは、薪焼きを軸にした独創的な組み合わせ。最初に提供されたのは畑から直送された生落花生。新鮮さと薪火の香りが重なり、食材そのものの力強さを感じる。続く伊勢海老と根セロリの一皿は、リンゴ「さんさ」とエディブルフラワーを添え、彩りも鮮やか。プリっとした海老の食感が際立っていた。

HAGIの伊勢海老と根セロリ

さらに毛蟹と豆乳、シャインマスカットを組み合わせた一品は、意外性のある構成ながら調和がとれており、福島の旬を堪能できる。印象に残ったのは国産羊「メルティーシープ」と原木舞茸。舞茸は焦がしたような風味がありながら食感は柔らかく、羊の旨味と見事に調和した。

HAGIの毛蟹と豆乳

魚料理では秋刀魚を酒米「亀の尾」と香茸で仕立て、脂のバランスが絶妙。

HAGIのサンマ料理

ホタテとカボチャ、とうもろこしの薪焼きも、火入れによってホクホク感と甘味が引き立った。肉料理は黒毛和牛の経産牛を薪焼きで提供。根セロリと人参が添えられ、火入れの妙で肉質の旨味が際立っていた。

黒毛和牛の薪焼

食後は、薪で茹でた湯を使ったハーブティーと栗のデザート。ジャージー牛のアイスと合わせ、自然な甘味と余韻を楽しめた。パンも印象的で、外はカリッと中はしっとり。バターも濃厚で、パンだけでも買いに行きたくなるほどの完成度であった。

総評

「HAGI」は、地元食材と薪焼きというテーマを徹底的に突き詰めた唯一無二のフレンチ。落花生から経産牛まで、一つひとつの料理に物語があり、すべてを延々と食べ続けたくなる完成度であった。特に薪焼き野菜とパンは忘れられない美味しさ。いわきに訪れる価値が十分にある名店である。

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訪問日:2022/10/25

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